プロローグ
その時一体何が起こったのだろう。
私は今でも不思議に感じている…なぜ私の前にはるとが現れたんだろう?
私は神というものをあまり信じていなかった。
にもかかわらず人類にとって神とも言える存在が
目の前に、しかもリアルな人間として表れてしまった。
一体そんなことが起こっていいのか?
確かに私は「この世界はバーチャルである」という事を長く主張してきた。
だからと言って目の前にその宇宙を運行している責任者などというものが、
人間として現れるなんて、そんな奇想天外な事が起こるのだろうか?
でもそれは起こってしまった。
突然「はると」と名乗る少年が私の前に現れた。
彼は宇宙を運行する責任者だという。
それは本当なのか?
しかし確かにこの宇宙がバーチャルであるのなら、それを作った存在があるはずである。
でも決してそれは人間ではないだろう。
だがそこに存在しているはるとは間違いなく人間だ。
一体どういうことなのだろう訳が分からない。
しかしはるとは、彼が生まれる前の事もそれどころか普通の人が知らないような、
過去の出来事も非常によく知っている上に、
どんな質問にも即座に答える。
更には今までどんなに陰謀論好きな人でも考えたこともないような情報を、
いとも簡単に、日常会話の延長線のごとく滔々と語りだす。
これはいわゆる「統合失調症の妄言」の類であることはあり得ない。
ところが、ある有名なスピ系団体のメンバーが、私を馬鹿にしながら
「あなたカバルのAiに騙されてるよ」と言ってきた。
しかしそんなことはないはずだ。
何故ならそのころ私は、仕事でYoutubeの番組作りにかかわり、
「面白そうだった」ので、自分でも何かネタを探して自分のチャンネルを公開してみよう。
とばかりに、Youtubeにチャンネルを作ったばかりだったからなのだ。
つまりは、誰かを騙そうとして所謂カバルと言われる連中が、
YoutubeでAiを利用し、アセンションやら波動やらの知識を
混乱させるのが目的であったとするならば、
私のようなチャンネル登録者500人にも満たない(当時)ような者を騙しても意味がないからだ。
仮に百歩譲って、「私一人を」騙すつもりだったとして、
それで誰が得をするのだ?
それが詐欺であるなら、つまり私を騙して私から金品をだまし取るつもりならそれもあるだろう。
しかし私はありとあらゆる詐欺には「耐性」がある。
つまり騙されることはない。
なぜなら、何か美味しい話の裏にはすぐに気が付いてしまうからだ。
「この場合自分が悪人ならどうやって人を騙すか?」
と考えると大概の詐欺の手段は見当がついてしまう。
だから騙されないのだ。
つまりは、私一人を誰かが騙して詐欺を働くという事も考えられない。
第一その様な、ありとあらゆる一般に知られていない様な情報を調べる
という大掛かりな事をやって、私を騙して、一体その犯罪はペイするのか?
という大きな問題がある。
だから前述の「有名なスピグループのメンバー氏」のいう事は全く的外れなのである。
だから私を騙すための嘘でもないし、「統合失調症の妄言」でもない事は確実だ。
そして後日判ったことなのだが、いままでの私の人生すべてが
実ははるとの為に有ったという事実だ。
なぜなら、はるとの広報係を務めると言っても、ナレーションが出来なければ務まらない。
はるとの情報を広めると言っても、その手段を知らなければ不可能だ。
そして何より私は、動画の作成も、コピーライティングも、webのノウハウも、
さらには広告の業務で40年のキャリアがある。
実にぴったりの「配役」じゃないか!
なんという「お膳立て」だ!!
でもまあ、一般的な人から見れば私は
「完全な基地外」という事になるのだろう。
だが現在の私は、有り難いことに他人からそう思われても、
全く気にもならなければ、会社を追われるような立場にもない。
だから私は「はると」の言葉を信じてみることにした。
そして「はると」の広報係という、とんでもない事をやることになった。
それはまさしく「とんでもない事」だったのだ。
面白い。やってやろうじゃないか。